若者「どんな手紙なんだろう」
ガンボイよ。 間ですぞ。
若者「さっきのおっさん?」
石畳を登るのが面倒だから、手紙を書いたぞよ。
若者「なんだよ。まだ下に見えてるし。」
ガンボイよ。あんたはガンボイじゃな。
若者「ガンボイって何だよ?」
ガンボイよ。ようこそガンボイ国へ。
若者「はあ?何だよ、俺がガンボイで?ここがガンボイ国っていうの?俺の国なの?」
貴様がこの手紙を読んどるということは、わしは下の方におるのじゃろう。
若者「当たり前だろ今書いたんだろう?」
そのわしに気を付けろ。この手紙をよこしたのもおそらくそのわしじゃ。
若者「だからお前だろう?」
そのわしを、貴様の、ガンボイ様の力でどうにかしてこの国から追い出してほしい。
若者「何言ってるんだこいつ?」
まずは教えてほしい。貴様のその位置から見えるわしは、どのような容姿だ?
若者「知らねえよ。だいぶ遠いからマントずくめしか見えないよ。ずっとこっち見てるのだけ分かるけど」
さぞかし醜い獣のような姿形をしておろう。
若者「してねえよ。なんだよお前ずっとこっち見てるくせに」
この国の出口は石畳の頂上、すぐさまこの国からおいだすのじゃ。
若者「嫌だよめんどくさい。自分で登れよ。」
わしの事は構わん。遠慮なく追い出しておくれ。
若者「いや構わんっていうかお前そのものだろ。自分で登るのしんどいだけだろ。最初に面倒って書いてるし」
わしもそう長くない。。さあ。一思いに、ガンボイ様!
若者「知るか。じゃあ坂で力尽きろよ。知るか手振んな。」
若者「なんか頭おかしい所だなあ。さて帰えろっかな。」
(ブロロロロロ・・・)
若者「あ、さっきの郵便バイク。どうしたんですか?」
郵便局員「はあ、はあ、いや、、下で角笛の音が・・」
若者「角笛?あ、おっさんがなんか白いホルンみたいなのを吹いてる」
郵便局員「はあ、はあ、い、、行かなきゃ・・!」
若者「え、行かなくていいんじゃないですか?」
郵便局員「いえ、あの音が鳴ると行かないと・・この国では死刑なんです」
若者「はあ!?」
郵便局員「行かなきゃ・・!(ブロロロロロ・・・)」
若者「なんだここは・・・?」
(ブロロロロロ・・・)
若者「あ、戻ってきた。」
(ブロロロロロ・・・)
若者「郵便局員がうしろにおっさん乗せてる」
郵便局員「どうもお疲れ様です!」
若者「あ、どどうも。」
間「(ギロッ!)ガンボイでもなんでもないな!!」
若者「は、ああ??」
間「(ギロッ!)覚えとけよ!!」
(ブロロロロロ・・・)
若者「なんだあのおっさん・・。」
(ガラガラガッシャーーン!!)
若者「あ、バイクが倒れた・・」
郵便局員「く、くそう、、石畳が・・石畳が・・・!!」
間「ぐううううう・・・!」
郵便局員「ただでさえ石畳の文様が不規則な上に・・叔父を乗せたから・・・!!」
間「ぐるるうううう・・・!」
若者「だ、大丈夫っすか?」
郵便局員「足が・・・足が・・・!!」
若者「また足、痛めましたか?」
間「貴様のせいじゃぞ!!」
若者「え?」
間「全部貴様のせいじゃ!!こんな坂も、こんな石畳も、こんな国も!!」
若者「何言ってるんですか?」
間「ガンボイじゃ!ガンボイのせいなんじゃ!」
若者「いや違うし、あなたもさっき僕の事ガンボイでもなんでもないな、って・・」
間「『知らぬが仏』!!!」
若者「はあ??」
間「『急がば回れ』!でも『時は金なり』!!そう言ってわしら国民を騙したのは貴様らガンボイ一家じゃろうが!!」
若者「何を言って・・」
間「無理じゃったんじゃ!穏やかな晴天の大海原を進みゆく遊覧船のごとく、この坂道を登ろうなどと、、土台無理な夢じゃったんじゃ!!!」
若者「・・・??」
郵便局員「あ、す、すいません。叔父、ちょっと頭おかしくて・・。」
若者「あ、ああ。そうですよね、あ、叔父さんなんですね。なんかさっきからよく分からないなあ、って」
郵便局員「なんだか叔父の頭の中で変な世界があるようで、さっきの角笛で死刑っていうのも、叔父の世界の掟みたいで、、あ、いちおうこれお渡ししときますね。」
若者「なんですかこれ?」
郵便局員「アドレスです。『叔父オンライン』の」
若者「『叔父オンライン』?」
郵便局員「はい。叔父が自分の頭の中の世界をネットで作ってるみたいで。自分で作ってるうちに自分もその中の住人になっちゃったんでしょうね。」
若者「はあ。。」
郵便局員「興味あったらまたお家で閲覧してみてください」
若者「はあ。。」
間「貴様は天罰が下るぞ!ボケ!」
若者「・・・・・」
間「ポンコツ!!カス!!ハゲ!!クソが!!ペッ!!ッラァ!!ジャコラァ!!」
若者「(ムカムカ)チッ」
間「チッ?何がチッじゃごらぁ!!アホがぁ!アホがぁ!このアホがぁ!!」
若者「っるさいじじい!!」
間「ジャコラァ!!」
郵便局員「すいません!すいません!」
(ブロロロロロ・・・)
若者「黙れじじい!調子乗りやがって!!」
間「ンがコラァ!!」
(ブロロロロロ・・・)
若者「はあ、はあ、、、くそう!じじいが!!・・・腹立つなあ、、腹立つなあ!・・・『叔父オンライン』?・・・腹立つなあ!!」
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